著者
斎藤 秀俊
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.57-60, 2011-10-31

最近,わが国のほとんどがニンジンになっています.ニンジンが自分で自分を美味しいと叫んでいるのですが,皆が皆ニンジンだから叫んでも誰も聞いてくれません.それは当然で,普通は自分で自分をどう味わったらよいかわからないし,食べてないから美味しさなどわかっていないことをお互いが知っているのです.こういうときには,八百屋が「このニンジンは甘みがあるよ」とか,シェフが「こう煮ると口の中でとろけるよ」とか,調教師が「目の前につるせば,馬が走る」などのように,宣伝してくれる人がいなければだめなのです.筆者は昭和58年東京工業高等専門学校電気工学科卒で長岡技術科学大学に進学しました.平成22年度から国立高等専門学校機構の監事を拝命し,全国の高専を回っています.高専とともに人生を歩んでいるようなものです.本稿にて,監事として味わった美味しさの一端を八百屋的に紹介しますので,高専のどのような所を伸ばしていけばよいのかといった,将来戦略を立案する際の参考に利用されることがあれば幸いです.
著者
大槻 香子
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.169-174, 2011-07-31

本研究は高専卒女性技術者のキャリア形成を「世代」と「地域」をキーワードに調査分析した.調査方法は54名のインタビューによる質的調査である.その結果,「世代」の分析では,どの世代においても,女性の就労は家族に影響をうけることは共通であったが,高専創設期から約20年の間と,平成以降の卒業の女性技術者の間には,就労に対する考え方が違い,それが彼女たちのキャリア形成の違いにつながっていることが分かった.また,「地域」の分析では,その地域の産業がどのような業界に属しているかと,地域に特化した文化・価値観が女性技術者の就労に影響することが分かった.これらの結果は,これからの高専キャリア教育モデル構築への指標となると考える.
著者
井上 伸治 村田 真奈美 村上 浩徳 西田 好光 蝉 正敏 金田 忠裕
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.1-4, 2011-07-31

ロボカップジュニアに参加している子どもたちの要望や基礎研究を基に,ルール変更のため対応が必須となったサッカーゴールの塗り分け色を判別する,低価格なカラーセンサモジュールの開発を行った.市販のデジタルカラーセンサを使用し,レンズとして市販のアクリル球を用いるなど低価格化のため工夫した.また,外寸やインターフェースなどは従来のロボット教材との親和性を確保した.構造やアルゴリズムを工夫して子どもたちにも扱いやすく,実用的なセンサモジュールを開発し,商品化まで行うことができた.
著者
三木 功次郎 北村 誠 榊原 和彦 名倉 誠 長瀬 潤 新野 康彦 直江 一光 宇田 亮子 松尾 賢一 山口 賢一
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.113-118, 2010-08-30

平成18年度より,学生の技術者としての総合的な能力向上を目指して,課外活動を活用して様々なサイエンス活動を行う技術者教育プロジェクトを実施している.活動内容は,科学研究コンテスト等での研究発表,国際科学オリンピックへの参加,サイエンスボランティア活動などで,国際生物学オリンピックでの銅メダル獲得,研究発表会での最優秀賞受賞,ボランティア活動での表彰など多くの成果を挙げている.大会での入賞などを具体的目標として提示し,授業から離れて,各学生がその能力・興味に応じて活動を行うことにより,創造性・問題解決能力・コミュニケーション能力の向上など,多面的な教育的効果が得られることが分かった.また,活動する学生の受け皿として,同好会組織であるサイエンス研究会を立ち上げ,学生が自主的かつ組織的な活動を行うことで,ノウハウの継承,リーダーシップの育成,協調性の向上を行うことができ,教員の負担も大きく増やすことなく実施可能であった.これらの活動は,「人間力」向上にも役立っており,実践的な技術者の養成に非常に有効な手段であると考えられる.
著者
山内 慎 西森 正志 西嶋 直人 新谷 一也 松本 恭徳 松井 克憲
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.35-38, 2011-07-31

本研究は,画像認識技術を用いた列車運転士用支援システムを開発することを目的とし,ラボスケールで実施できる鉄道模型用の標識認識システムを作成した.本技術は,実車において運転士の目視による安全確認時の支援用ツールとして提案できるものである.本システムでは,画像認識用の標識を模型車両の車載カラービデオカメラによって動画撮影し,PCにキャプチャーし,画像認識ソフトウェアによりリアルタイム処理した後,標識で決められた音を自動的に鳴らす仕組みを実現した.画像認識用の標識はRGBの3原色を用いて5段の横縞状にデザインし,16種類作成した.標識サイズは8mm角とした.画像認識処理法には投票処理法を用いた.認識手順は,1)16種類の標識に投票箱を用意し,2)ピクセル毎にRGBの輝度値を調べ,3)最大値を持った色をその位置での色とし,4)最終的に一番多い票を獲得した標識番号が出力され,5)認識した標識画像をPC画面に表示し,6)標識で指定された音を鳴らすとした.楕円形の軌道上に「鉄橋」,「踏切」,「カーブ」部を設け,それぞれの開始,終わりの標識を進行方向右側に設置したコースを作成して実験した.その結果,実車スケール速度40km/h相当での走行時の標識認識率は100%であった.
著者
大成 博文
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.63-68, 2013-07-31

高専創立から今日までの50年間を振り返り,そこに形成された根強い構造的問題を究明するとともに,そこから学ぶべき教訓を明らかにした.まず,専科大学への名称変更を特徴とする「高専危機論」の解明を通じて,高専の将来を自分たちで考え,自分たちで決めるという「自立」の大切さを学んだ.また,高専当初における超過密の詰め込み教育の反省を踏まえ,高専生の発達に則した教育内容を自主的研究に基づく内発的実践の重要性を指摘した.さらに,高専固有の「教育と研究の対立問題」が高専教員の自立を阻害したことを示し,この対立を「教育と研究の両立」によって実践的に解決することの重要性を明らかにした.最後に,テクノセンターを核にして地元の中小企業と親密な連携を特徴とする「地域に根ざした高専づくり」が考察され,とくに企業との共同研究の成功と実績づくりにおいて,高専における総合的な研究力の向上に重要な役割を果たすことを示した.
著者
中島 麻衣
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.71-74, 2014-07-31

本稿では4年生の春休みにカンボジアのコムルー村で教育ボランティアに参加した経験をもとに,農村と都市のあり方を考察した.工業とはかけ離れた生活を行っていたその村の学校では,外国語教育を主とした授業が行われていた.なぜなら,多くの子供や親たちが都市部で働くことを望んでいるからである.このような村の状況の背景には,カンボジア経済があった.カンボジアでは人口の7割が農業に従事しているが,その生活は厳しく貧困率も高い.そのため多くの若年層が農村を離れ,都市や海外に働きにでている.だからこそ外国語教育がもっとも必要とされていたのである.しかし,村で楽しそうに過ごしている子供たちの様子を思うと,本当にそれでいいのだろうかという疑問がわき起こった.高知も「限界集落」という言葉が生まれる程,人口流出地域であった.現在,農村再生のために,第六次産業や交流産業の導入など,農業の工業化とは異なる新しい試みが行われている.高知高専でもそのような事業に携わっている人がおり,私も将来は高知に限らず関わっていきたいと考えている.
著者
三谷 芳弘 浜本 義彦
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.65-70, 2010-07-30

抵抗器の抵抗値は,カラーコードの色によって分かる.抵抗器の色から抵抗値を読み取ることをコンピュータが代用できれば,その読み取りコストが小さくなる.本論文では,画像処理による抵抗器の読み取り方法を提案する.それは,まず抵抗器の実画像より色を抽出し,次にその色を識別する.色を識別する際に照明の影響を考慮することは重要である.そのため,3種類の照明状況(暗い状況,明るい状況,非常に明るい状況)で実験を行った.また,色の高精度な識別のために10種類の色空間(RGB,XYZ,YCbCr,YIQ,HSI,HSV,HLS,L^*u^*v^*,L^*a^*b^*,I1I2I3)を調べた.実験結果より,提案手法の有効性を示した.抵抗器の抵抗値をより高精度に読み取るためには,より照明の明るい環境の下で色識別にはL^*u^*v^*,L^*a^*b^*,I1I2I3色特徴を用いることが効果的であることが分かった.
著者
眞野 裕也 青山 俊弘
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.43-46, 2010-08-30

Twitterなどのミニブログサービスにおいて,ユーザは嗜好の類似によって自然にクラスタを形成する.本論文では,"お気に入り"情報を用いてユーザをクラスタリングする手法を提案する."お気に入り"とはミニブログ上でユーザが気に入った記事に対して印を付けることができる機能であり,"お気に入り"を付けた記事群は後に一覧することができる.提案する方法では,ユーザ間の「類似度」を,「異なる2ユーザが同じ記事に"お気に入り"を付けた回数」と定義する.それに基づいて,ユーザを点,類似度を辺の重みとして持つ「類似度グラフ」を作り,そのグラフに対してグラフクラスタリングアルゴリズムの一つであるFORCEを適用することで,同じ趣味を持つことによるクラスタ,同じ社会的属性を持つことによるクラスタ,他のコミュニティに同じく属するユーザによるクラスタなどを抽出することができた.さらに,拡張したtf-idf法で"お気に入り"の付けられた記事群を解析することで,クラスタごとに異なる,クラスタの特徴を現す特徴語を抽出することができた.
著者
丸山 貴司 中川 匡弘
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.97-104, 2011-07-31
被引用文献数
2

近年,ヒトの生体信号を解析することで感性の定量的評価を試みる研究が取り組まれている.中でも,ヒトの感情は脳の活動と密接に関係していると考えられ,脳波を解析することで感情の定量化を試みる手法として,感性スペクトル解析手法(ESAM),感性フラクタル次元解析手法(EFAM)が提案されている.本研究では,脳波のフラクタル次元を特徴量として感性の定量化を行うEFAMの拡張として,脳波のマルチフラクタル次元を用いた感性解析を試み,既存技術であるESAM,EFAMとの比較を行った.具体的には,被験者16名に対し,「喜怒哀楽」の基本4感性について想起の持続性・再現性の実験を実施した.その結果,提案手法はEFAMに比べ,学習誤差等は増加し,一つひとつの感性の認識率は低減するが,4つ全ての感性が偏り少なく認識できることが確認できた.マルチフラクタル次元を特徴量として用いることにより,感性に寄与している特徴を適切に抽出でき,認識可能な感性の偏りが低減されたものと考えられる.また,学習に用いる時系列データのばらつきを抑えることで,認識率が向上する可能性が示唆された.